UP 2008.6.23
琵琶湖・西の湖のヨシ群生地と近江商人の郷里
■日時:2008.6.20(金) 天気 曇のち雨
■行先:滋賀県安土町 西の湖、東近江市 五個荘
■交通:近鉄観光バス 貸切 大阪梅田8:30
■参加者:環境科40名
行程:8:30大阪梅田→(名神竜王IC)→10:40西の湖やすらぎホール(西の湖今昔・自然保護活動の話、昼食)→12:30西の湖見学・遊覧→14:00近江八幡西の湖園地下船→14:50五個荘観光センター(近江商人屋敷見学)→16:00出発→(名神竜王IC)→18:20大阪梅田着
戦前、琵琶湖周辺には37個所の内湖がありましたが、戦中・戦後にその大半が干拓され、農地となりました。湖東にある西の湖は干拓を免れた数少ない内湖で、ヨシが群生し、ヨシキリが鳴き、昔の湖国の風景が残っています。その西の湖の保護活動をされている方々のお話を聴き、船で西の湖を見学・遊覧する。その後、近江商人の郷里、五個荘の屋敷町、資料館を地元のボランティアさんに案内いただきました。

西の湖の自然保護活動について(10:40〜12:00)

安土町やすらぎホールの大広間で、東近江水環境自治協議会専務理事 丹波道明さん、安土西の湖観光代表の古老・奥田修三さん、メンバーの西崎嘉代子さん、田辺佳伸さんから西の湖保全活動のお話を伺いました。
協議会設立趣旨:昭和17年以前には、琵琶湖の周辺には37湖2903.1haに及ぶ内湖(湿地)があったが、食糧増産のための干拓、琵琶湖総合開発に伴う湖周道路の整備などで現在では24湖428.8haを残すのみとなった。今までは無用のものとされてきた湿地であったが、今では水質浄化、琵琶湖の豊かな生態系に大きな役割を果たしていることが認識されつつある。残された最大の内湖である西の湖には100haのヨシ原(琵琶湖全体の60%を占める)が成育しているが、開発によって湖は大きなダメージを受けた。地域が連携して湖の再生と保全に取り組んでいく。

やすらぎホールで西の湖保全活動の話を聴く。
東近江水環境自治協議会 専務理事の丹波さんは三原さんの同級生

ヨシとオオヨシキリの巣を手に奥田修三さん

西の湖の今昔を語る丹波さん

貝による水質浄化実験
82歳という奥田修三さんは、内湖はかつて魚の産卵の場所であり、ヨシとともに貝が湖水を浄化してきた。戦後の干拓と湖周道路が琵琶湖を破壊した。ブラックバスより人間の仕業であると語気を強める。水槽を使って貝が水を浄化する実験を披露する。イケチョウ貝、カラス貝などを入れた水槽が、一時間後には澄んでいることがはっきり分かる。貝一個でドラム缶1杯の水を浄化するという。
ヨシとアシの違い:中が空洞なものを「ヨシ」、中が詰まっているものを「アシ」と呼ぶ。
西の湖・今昔

昭和17年(干拓前)

現在(赤は干拓部分で中央下が西の湖)
専務理事丹波さんからは、信長の京都の物流を押える戦略拠点であった安土の歴史、西の湖の今昔、琵琶湖の生き物を激減させた三大原因
(1)干拓、(2)圃場整備、(3)琵琶湖総合開発であること、および会の設立趣旨や保全活動についてお話しいただきました。

あじさいや口角飛ばす老漁師     みのる

西の湖見学・遊覧(12:30〜14:00)

3艘の船に分乗して、西の湖〜長命寺川水門〜北之庄のヨシ原を巡る。ヨシは嘗て、ヨシ葺屋根の材料として高価で売れ、16もの業者があったが、今は市場のグローバル化で競争力を失い荒れ果てようとしている。奥田さんが船頭をつとめる一番船に乗り合わせましたが、背丈を越えるヨシ、オオヨシキリの合唱の中で、西の湖の今昔、生き物、ヨシ原再生のための活動、その難しさなど熱っぽく語ってくれた1時間半の船旅でした。

西の湖のヨシ群、高さ2.5mもある

西の湖乗船場で3そうの船に分乗

一番船の船頭は古老・奥田修三さん

ヨシ原を縫って進む三番船

西の湖水郷めぐり北之庄下船場にて(合成)

奥田さんの経営する西の湖めぐりの遊覧船には、学校や環境に関心のある団体以外、観光客はあまり乗ってくれないそうです。シニアの皆さんに是非紹介してあげてください。手製の名刺をいただきました。

 葦原に残る田んぼや行々子     さち子

五個荘(14:50〜16:00)

三方よし。売り手よし、買い手よし、世間よし、共生こそ商の本道。近江商人発祥の地 てんびんの里 東近江市五個荘の町並みを歩く。折からの雨をついて、観光ボランティアのベテラン女性の案内で、白壁・船板張りの土蔵が続く金堂の町並みと商人屋敷を巡りました。
 町並みは「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。古代条里制地割を基礎に、大和郡山藩の陣屋と社寺を中心に形成された湖東平野を代表する農村集落で、加えて近江商人が築いた意匠の優れた和風建築群の歴史的景観を呈しているとの理由によるものです。

順路:五個荘観光センター→弘誓寺→近江商人屋敷外村繁邸→外村宇兵衛邸→中江準五郎邸→観光センター


鯉の泳ぐ水路に沿って近江商人屋敷が並ぶ(外村繁邸)

船板張りとよし葺の民家

近江商人(外村宇兵衛邸)

中江邸から白壁の屋敷群を望む
近江商人の流れを汲む企業には、高島屋、大丸、西武百貨店、伊藤忠商事、丸紅、トーメン、ニチメン、日清紡、東洋紡、東レ、日本生命、ワコール、西川産業など多数あります。

天びんの里の掘割花菖蒲     さち子

琵琶湖の生態系はそれを取り巻く内湖(湿地)が育んできたことがよく分かりました。残された最大の内湖・西の湖のヨシ原再生に向けて、熱っぽく語る古老の姿が忘れられません。近江商人の町五個荘とあわせて湖東学習の旅を企画・案内していただいた三原さんにあらためて御礼申し上げます。
俳句は秋山さん、浅田さんから提供いただきました。                                            写真・文  平山
企画担当:三原 光生、長谷川清満

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